お詫びで「商品券」を渡すときに気をつけること~知っておきたいマナーや金額について~
公開日: 2024年10月01日
目次
ビジネスの場でお詫びに「商品券」を渡すのは失礼?
トラブルやミスに対する謝罪の意をお客様へ伝えるとき、どのようなお詫びの品を用意したらいいか悩みますよね。その1つとして検討されるのが「商品券」です。
しかし、商品券ではお金で問題を解決しようとしていると思われ、余計に角が立つのでは?と思う人もいるはず。ですが、ご心配なく。失礼にはなりません。
むしろ、お詫びの品としてもらいたいものの1位は「他社金券(商品券、デジタルギフト等)」であるという調査結果が株式会社クオカードから発表されています。
「企業の不祥事による謝罪への消費者の感覚調査」株式会社クオカード(2015年11月)
- お詫びの品としてもらいたいものの1位は「他社金券(商品券、デジタルギフト等)」
とはいえ、お詫びの品として商品券を渡す際には気をつけなければいけないことがあります。そこで今回は、謝罪をする際に心得たい企業としての姿勢や、知っておきたいマナー、金額などについて詳しく解説します。
トラブルやミスが起きたら迅速対応が鉄則
近年、企業の謝罪がSNSで拡散され、かえってネガティブな印象を与えるケースが増えています。その要因の1つは「謝罪のタイミングの遅さ」。
「SNSを意識した謝罪対応が必要?消費者が求める企業の謝罪対応とは?(調査)」株式会社クオカード(2022年11月)
- ネガティブな印象を与える要因の1つが、「謝罪のタイミングの遅さ」
例えば以下のトラブルやミスは、お客様の不利益や二次被害につながりかねないため、対応するタイミングから企業側の責任に対する自覚や、お客様に対する誠意をはかる人が多いからでしょう。
- メールの誤送信などによる個人情報の漏えい
- 納品ミスなどによる納期の遅延
- 請求や返金処理のミス
- 商品やサービスの不具合
- 企業側に明確な落ち度があるクレーム
このようなトラブルやミスが起きた際は、ただちにお客様へ報告し、スピード感をもって真摯な態度で対応することが重要です。トラブルやミスの発生は、細心の注意を払っていても避けきることが困難です。発生したときの初動から企業側の姿勢を垣間見ることができ、謝罪にうかがった際に気持ちが伝わりやすくなります。
お詫びとして商品券を渡すときのマナーや金額など
商品券を包むときのマナー
封筒
お詫びとして商品券を渡すときは、白い無地の封筒に入れるのが無難です。中身が透けないよう、紙質の厚いものまたは二重封筒を選びます。
ちなみに、茶封筒は事務的なイメージが強く「謝罪=事務作業」と捉えられる恐れがあり、また、のし袋はお祝いごとのイメージがあるので避けましょう。
表書き
封筒の表書きは、「深謝」「陳謝」「御詫び」が一般的です。深謝>陳謝>御詫び の順で謝罪の深さが異なるので、状況に応じて使い分けます。
入れ方
汚れや折れなどがないものを入れましょう。複数枚の商品券を入れるときは、表裏など向きを揃えます。
現金の場合は?
現金を包むときも同様ですが、必ず新札を用意しましょう。
お詫び文を書くときのマナー
お詫びの品に加え、謝罪の言葉を記したお詫び文も添えるとより誠意が伝わりやすいです。あらたまった文章なので白い便せんに縦書きが基本です。以下に例文とポイントを説明します。
例文とポイント
〇〇 〇〇様
なによりもまずお詫びを申し上げます。
<深刻なお詫びの場合、時候の挨拶は書かず、単刀直入にお詫びを書くと気持ちが伝わります>
このたびは、私どもの不手際により〇〇様に多大なご迷惑をおかけしましたこと、誠に申し訳ございません。原因を調査したところ、〇〇〇〇がわかりました。
弊社の商品を楽しみにしていただいたにもかかわらず、ご不快な思いをおかけしてしまい、たいへん心が痛みます。
<原因はあまり詳しく説明しないこと。説明が過剰になると被害者的なふるまい、言い訳と捉えられる恐れがあります。自社のミスを認める謙虚な姿勢が大切です>
〇〇〇〇に関しまして、早急に対応をさせていただきました。ご多忙の中お手数をおかけしましてたいへん恐縮ではございますが、今一度ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。
<トラブルやミスに対してどのような対応をしたのかをわかりやすく説明します>
謝罪の機会を与えていただき、〇〇様の寛大なお心でお許しいただけたこと、心から感謝申し上げます。
心ばかりのものを同封いたしました。お詫びのしるしにもなりませんが、どうかお納めいただけますと幸いです。
<謝罪の機会と、それを受け入れていただいたことに感謝の気持ちを添えましょう>
今後はこのようなことのないよう、より一層の運営体制の強化に努めてまいります。
このたびはたいへんご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。改めてお詫び申し上げます。
<再発防止の誓いの後、改めてお詫びの言葉で締めくくります。お得意様など、今後も良好な関係を保ちたい場合は、「今後とも変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます」といった一言を記しましょう>
直接お会いして渡すときのマナー
服装
男性はダークスーツに白シャツ、ネクタイは紺色で柄や光沢がないものを選びます。女性もスーツなど華美にならない装いが適切です。
まずは「謝罪」。お詫びの品を渡すのは謝罪を受け入れてもらえてから
お詫びの品として商品券を渡すときに、もっともやってはいけないことは謝罪をする前に渡すことです。お金で問題を解決しようとしているというネガティブな印象を与える恐れがあります。お会いしたらまずは謝罪。そして問題説明後に改めてお詫びを伝え、それを受け入れていただいたと確認したら、相手の寛大な対応に感謝の意を込めて手渡しましょう。
問題説明時に気をつけること
謝罪の言葉の次に重要なのは、トラブルやミスの説明です。このとき、被害者的な振る舞いはタブーです。たとえ社外の過失によるトラブルやミスだったとしても、商品やサービスを楽しみにしていたお客様にご迷惑をかけたということは留意すべきです。
また、「お客様に誤解を与えてしまい…」というフレーズも禁句です。
謝罪先が女性の場合の注意点
謝罪にうかがう先が女性の場合、ドアを開けたまま、玄関先で謝罪するのが基本マナーです。相手にすすめられても家の中に入ることは避け、玄関先で対応してもらいましょう。
郵送するときのマナー
お客様の住まいが遠方だったり、何かしらの事情で直接渡せない場合は、お詫びの品を郵送しても問題ありません。
ただし、その際もまずは電話で謝罪の言葉を伝え、それを受け入れていただいたと確認したら、許していただいた相手へのお礼の気持ちとしてお詫びの品を送ることを伝えましょう。
同封するお詫び文の最後には、「本来であればお詫びにうかがうべきところ、甚だ略儀ではございますが書面にてお詫び申し上げます」と一言添えます。
送る際は、誤配送や紛失を防ぐため、補償や追跡が可能な「書留」の利用がおすすめです。
金額の相場
お客様に与えた過失の程度によって異なりますが、株式会社クオカードが2021年に行なった調査によると、お詫びの品として商品券や現金を送る際、お客様が納得できる金額は以下です。
個人情報の漏えい 5,000円相当
オンラインサービスの不具合・停止 1,000円相当
商品・サービスの欠損や不具合(オンライン以外) 5,000円相当
お詫びに商品券を渡すメリット・デメリット
メリット
- お客様の好みに応じたものを選べる
- 現金よりも露骨さがないので、もらった側が気兼ねしにくい
- 郵送できるので、遠方に住んでいるお客様でも受け取りやすい
デメリット
- 商品券によって使える店舗が限定されるなど、使用できない場合がある
- 年上のお客様に対して失礼な印象を与える恐れがある
お客様に対してデメリットの要素を拭いきれない場合は、「デジタルギフト」という手段もあります。あっとギフトの「選べるギフトタイプ」を送れば、「PayPayポイント」や「Amazonギフトカード」など複数のデジタルギフトを設定できるので、お客様がよく使うネットショップや実店舗に合わせて選ぶことができます。また、お客様のスマートフォン画面上で即時に受け取ることができます。
また、年上のお客様には、菓子折りにデジタルギフトを添えるという方法もあります。デジタルギフトは商品券よりもさらに金銭的な印象がやわらぐので、お客様の心証を損ないません。
まとめ
トラブルやミスが起きたら、まずは迅速かつ誠実な対応が重要です。そして、謝罪にうかがった際は、何よりも真っ先にお詫びの言葉を伝えましょう。そのような企業の姿勢や態度は、お詫びの品に何を送ったか、どれくらいの金額を包んだかといったことよりも、お客様の評価につながります。
マナーとは、動作や決まりという意味ではなく、人と人が関わる上ですべての人が気持ちよく過ごすために配慮したい思いやりのことです。そのため、正解はありません。
自分が同じようなトラブルやミスにあったとき、どのような対応だったら安心したり、信頼が回復するかを考えて、お客様と向き合いましょう。
お客様を敬い、思いやりを忘れずにいれば、その気持ちがお客様にきっと届くはずです。
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