販促でデジタルギフトを使用するときの注意点~景品表示法について
公開日: 2023年04月19日 更新日: 2023年07月26日
目次
販促などで景品を配布するときは「景品表示法」に注意
法人がキャンペーンやプロモーションを行なう際、参加者や応募者に景品などを配布するのは、販促や集客に有効な手段のひとつです。
しかし、このとき気をつけなければいけないのは「景品表示法(景表法)」です。
企画する施策によって景品の上限額があり、違反に対してペナルティが設けられています。それはデジタルギフトを使用するときも例外ではありません。
今回は、景品表示法について説明します。
景品表示法とは
景品表示法とは、不当な景品や表示を禁止する法律です。
正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)」と言い、不当な顧客誘引を防止するため、「景品類の制限及び禁止」と「不当表示の禁止」が決められています。消費者が過剰な景品類や誇大な表現につられて正しい判断をできず、不利益を被らないためのものです。
ここでは、法人がデジタルギフトで景品類を配布する際に注意すべきこととして「景品類の制限及び禁止」について解説します。
景品類には上限額や総額限度が設けられている
なぜ上限額や総額限度が定められているのでしょうか。
例えば、「100円のお菓子を買って海外旅行を当てよう!」というキャンペーンを実施したとします。すると、海外旅行を目当てに大量のお菓子を購入する人がいるかもしれません。これは正当な商取引ではなく、消費者に誤った判断をさせ、大量に商品を買うという行為へ誘引させたということです。このような行為を防止するために、景品表示法では過大な景品類の提供を禁止し、景品類の上限額や総額限度が設けられています。
ここでいう「景品類」とは下記を言います。
- 顧客を誘引する手段として景品を利用する
- 取引に付随して景品を提供する
- 物品や金銭など、経済上の利益が発生する
提供される景品類が「提供を受ける人から見て、通常の場合は経済的対価を支払って取得すると認められるもの」かが判断の基準となります。
たとえ、提供する側(法人)にとって特段の出費を必要としないもの、市販されていないものであっても、提供を受ける側が経済的対価を支払って取得するものと認められる場合は、すべて「経済上の利益」に含まれます。
この基準で考えると、販促施策で採用される「商品などの物品」「商品券」「映画などの招待券」などはもちろん、デジタルギフトも経済上の利益(=景品類)に該当し、これらを提供するときは、景品表示法に基づく景品規制が適用されるということになるため注意が必要です。
種類別 注意点と限度額
どのような施策を企画するかによって、景品類の限度額が異なります。大きく分けて「オープンキャンペーン」と「クローズドキャンペーン」があり、クローズドキャンペーンは「一般懸賞」「共同懸賞」「総付景品」に分けられます。
オープンキャンペーン(オープン懸賞)
商品やサービスを購入しなくても、誰でも自由に参加できるものを「オープンキャンペーン(オープン懸賞)」と言います。
- 「謝礼付きWebアンケート」
- 「メルマガの登録でプレゼント」
- 「クイズに正解して賞品をゲット」
がオープンキャンペーンに該当します。
販促目的というより、施策を通じて広くたくさんの人にPRし、商品やサービス、法人の認知度を上げたいときに効果的な手法です。
参加条件がないというハードルの低さから消費者が参加しやすく、新規顧客の獲得につながりやすいです。
オープンキャンペーンで提供される景品は、景品表示法の景品類にあたらないため、景品の限度額がなく、高額品を提供することができます。
豪華景品を用意して顧客の注目を集められる点がメリットです。もちろんデジタルギフトでQUOカード Pay、Amazon ギフトカード などを景品にすることも可能です。
オープンキャンペーンの注意点
オープンキャンペーンとしていてもインターネット上でキャンペーンを実施し、景品の引き渡しを店舗で行なう場合は、取引付随性があるとみなされ、景品表示法の景品類に該当し、景品規制が適用されるため注意が必要です。
取引付随性とは、金銭的な取引を条件としていなくても、物品の提供などが消費者の商品購入の意思決定に直接結びつく可能性があることを指します。
店舗での景品の引き渡しができないオープンキャンペーンを実施すると、景品の発送や個人情報の管理をするため、手間がかかり、コストが高くなります。そのため、オープンキャンペーンの場合は、景品引き渡しをインターネット上でできるデジタルギフトを選ぶのが最適です。
この選択にはもうひとつメリットがあり、例えば、商取引サイトへのアクセスを応募条件にしても、店舗での引き渡しとは異なり、取引付随性はないものとされるため、景品の限度額がないオープンキャンペーン施策を行なうことができます。
まとめ
- 商品購入など、参加条件がないものはオープンキャンペーン
- 景品の限度額がないので、高額品を設定できる
- 景品の引き渡しを店舗で行なう場合は景品規制が適用されるので注意
- 景品にデジタルギフトを採用すれば、取引付随性は発生しない
- 応募の際、商取引サイトを経由してもオープンキャンペーンとして取り扱われる
クローズドキャンペーン(クローズド懸賞)
商品やサービスの購入を応募条件としたものを「クローズドキャンペーン(クローズド懸賞)」と言います。
クローズドキャンペーンは、すでに知名度のある商品やサービスの継続的な利用促進、法人のイメージアップを図り、リピーターとの関係強化が期待できます。
このとき、景品類にデジタルギフトを採用すれば、1円単位で景品の金額を設定できるので景品規制に抵触する危険性がなく、なおかつ、少額という制約された中でも柔軟かつ継続的に付与できというメリットがあります。
クローズドキャンペーンには、「一般懸賞」「共同懸賞」「総付景品」の3種類あり、それぞれに景品類の限度額が設けられています。
◆一般懸賞
商品やサービスの購入者に対して、くじ等の偶発性、特定行為の優劣等によって景品類を提供することを「一般懸賞」と言います。
- 「購入した商品に掲載されているクイズに答えて商品ゲット」
- 「ご来店者に抽選で商品券をプレゼント」
- 「500円お買い上げごとに1回くじが引ける」
などが該当します。
一般懸賞における景品類の限度額は以下になります。
懸賞による取引価額が
- 5000円未満の場合、最高額は取引価額の20倍
- 5000円以上の場合、最高額は10万円
上記のいずれも、景品類の総額は、懸賞に係る売上予定総額の2%まで。
◆共同懸賞
商品やサービスの購入者に対して、一定の地域の事業者が複数共同で景品類を提供することを「共同懸賞」と言います。
- 「歳末に商店街で賞品が当たる福引を実施」
- 「〇〇市の法人が集結したセールイベントを開催。1000円以上購入で特典あり」
などが該当します。
ただし、共同懸賞とみなされるには一定の基準があるので運用には注意しましょう。
共同懸賞における景品類の限度額は以下になります。
- 最高額は、取引価額にかかわらず30万円
- 景品類の総額は、懸賞に係る売上予定総額の3%
◆総付景品
商品やサービスを購入した人にもれなく景品類を提供することを「総付景品」と言います。または「ベタ付け景品」とも呼ばれます。
- 「ご来店者全員にノベルティをプレゼント」
- 「おまけ付き商品」
などが該当します。
一般懸賞はくじや抽選によって当選者を決めますが、総付景品は購入や来店といった条件を満たした“全ての人”が景品類をもらえる点が異なります。
総付景品における景品類の限度額は以下になります。
取引価額が
- 1000円未満の場合、景品類の最高額は200円
- 1000円以上の場合、景品類の最高額は取引価額の20%
限度額が少額なので企画として打ち出しやすく、近年、おまけ付きの販促施策が増えています。そのため、成果を得るには他社と差別化できる景品類や企画のユニークさが求められます。
まとめ
- クローズドキャンペーンには「一般懸賞」「共同懸賞」「総付景品」の3種がある
- それぞれ景品類の限度額が定められている
- 景品類にデジタルギフトを採用すれば、1円から金額設定できるので規制内に収めやすい
- 総付景品は、限度額が少額のため企画力が求められる
景品表示法に違反すると…
限度額を超える過大な景品類の提供が行なわれた疑いがある場合、提供を行なった法人に対して消費者庁が「関連資料の収集」「事情聴取」などの調査を行ないます。これらの調査の結果、違反行為が認められると、今後同様の違反行為を行なわないことを命ずる「措置命令」が下されます。違反の事実が認められない場合でも、違反のおそれがある行為が認められると「指導」の措置が入ります。
また、消費者庁は、消費者からの通報を受け付けており、景品表示法違反のおそれがある法人についての情報提供も受け付けています。
消費者に通報され、そこからSNSを通じて拡散されることもあり得ます。
違反をすると、金銭的なペナルティ以上に「信頼」「信用」といった大切なものを失う危険性があることを忘れずにいましょう。
景品には、デジタルギフトがおすすめ
法人が実施するキャンペーンにはさまざまな種類があり、なかでも「オープンキャンペーン」は景品の限度額がないため、高額の景品を用意して注目を集めることができます。
このとき、「デジタルギフト」を利用すれば、応募から景品の引き渡しまでインターネット上で完結することができるので、景品表示法に抵触する危険性がありません。
また、「クローズドキャンペーン」を企画した際も、「デジタルギフト」ならば1円から金額設定ができるので、少額でも他社と差別化した景品類や企画を打ち出すことが可能です。
販促施策を実施する際は、ぜひデジタルギフトの採用をご検討ください。